グラボ GeForce 2000シリーズの選び方
概要
nVIDIA グラフィックボード (ビデオカード)のGeForce RTX 20シリーズとGTX16シリーズを選びやすいように分かりやすく紹介しています。
GeForce GTX 1600シリーズも同じ世代ですが、RTコアを搭載していないことが大きな違いとなっています。
GeForce RTX 20シリーズの特長
GeForce GTXシリーズからGeForce RTXシリーズに変わりました。GTXで検索しても出てこないので検索で更に調べる場合はご注意ください。
GeForce 2000シリーズは同じ性能であればGeForce 1000シリーズよりも消費電力が低くなっています。
メモリのチップ数が多いほど並列アクセスで転送速度が向上しており、同時にメモリ容量増加と価格高騰に繋がっています。実際のところ、4GB以上のビデオメモリが必要となる場面は少ないです。
発熱や電力に余裕のある場合は動作クロックが定格からブーストクロックに引き上げられます。GPU Boost 4.0と新しくなり、クロック変動の段階が増えたことでブーストクロックの恩恵を受けやすくなりました。
DLSSに対応したゲームの場合、GeForce GTXシリーズよりも大幅に性能が向上しています。DLSSはアンチエイリアシングの技術で、アンチエイリアシング無しと比べて輪郭がより細かく滑らかに表現されます。TAAと比べて同等以上の画質で2倍近く処理が早くなるため、DLSSに対応したゲームでは高画質がより快適になります。TAAとは処理が異なるので、場面によってはTAAよりも画質が劣ってしまう場合もありますが、全体としては同等以上です。
PCゲームでのリアルタイムレイトレーシングが実用化されました。これまでは専用のシステムが必用でしたが、1枚のGeForce RTXで可能になりました。これまでもよりもリアルな高画質ゲームが可能となります。Direct X11でのテッセレーションのように普及には時間が掛かりそうです。
GeForce RTX 20シリーズの比較ランク表
GeForce GTX 10シリーズとの比較表
性能 | 2000 | 1000 | 900 | 700 | 価格 |
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高い | GeForce RTX 2080 Ti | 16万円以上 | |||
↑ | GeForce RTX 2080 | 9万円以上 | |||
GTX 1080 Ti | |||||
GeForce RTX 2070 | GTX 1080 | (GTX 980 SLI) | 6万円以上 | ||
GeForce RTX 2060 | GTX 1070 Ti | ||||
GeForce GTX 1660 Ti | GTX 1070 | (GTX 970 SLI) | 3万円以上 | ||
GeForce GTX 1660 | GTX Titan X | ||||
GTX 980 Ti | |||||
GTX 1060 6GB | |||||
GTX 980 | |||||
GTX 1060 3GB | |||||
GeForce GTX 1650 | GTX 970 | GTX 780 Ti | |||
GTX 780 | |||||
GTX 1050 Ti | 2万円以上 | ||||
GTX 1050 3GB | |||||
GTX 1050 2GB | GTX 770 | ||||
GTX 960 | GTX 760 | ||||
GTX 950 | |||||
GTX 750 Ti | |||||
GTX 750 | |||||
GT 1030 | 1万円以上 | ||||
GT 740 | |||||
↓ | GT 730 | ||||
低い | GT 710 | ||||
※価格は2019年2月時点の参考値。 |
『GeForce GTX 1660Ti』はRTコアを搭載していませんが新世代の設計になっています。DX11以前のゲーム向き。
『GeForce GT 740』以下はIntel CPUの内蔵GPUに性能が劣る場合があります。
GeForce 20シリーズの分類
4Kモニターやマルチモニターで高画質ゲーム
3840x2160 (4K / QFHD / UHD)の解像度はフルハイビジョン 1920x1080を4枚並べた精細さがあり、それだけの映像処理性能が必要となります。
最新の高画質ゲームを4K解像度で快適に楽しむには『GeForce GTX 1080 Ti』以上の性能が必用です。『GeForce RTX 2080』は『GeForce GTX 1080 Ti』よりも高性能で消費電力が低くなっておりおすすめです。
DLSSに対応したゲームの場合は更に快適な動作になっており、価格差を考慮しても『GeForce GTX 1080 Ti』よりも『GeForce RTX 2080』がおすすめとなります。
画質設定を調整して妥協するなら安くなった『GeForce GTX 1080』や『GeForce RTX 2070』がおすすめです。高画質ゲームの場合はビデオメモリの影響が大きい場合があり、価格があまり変わらずビデオメモリの性能が低い『GeForce GTX 1070 Ti』よりはGDDR6メモリを搭載した『GeForce RTX 2070』がおすすめとなります。
FullHDでの高画質ゲーム
DirectX 12の最新ゲームにはリアルタイムレイトレーシングなど最新の高画質機能に対応している『GeForce RTX 2060』。最高画質設定で快適にプレイするには『GeForce RTX 2070』の方が良い場合があります。
Direct X11以前のゲームにはRTコアを持たない『GeForce GTX 1660Ti』が低価格でありながら『GeForce GTX 1070』に匹敵する性能を持ちます。
- GeForce 1000シリーズの選び方
- nVIDIA グラフィックボード (ビデオカード)のGeForce 1000シリーズを選びやすいように分かりやすく紹介しています。
モデル毎の基本仕様 GeForce 2000シリーズ
こちらのスペック表記はnVIDIAの標準リファレンス設計を基にしています。リファレンス設計でも「Founders Edition」はOCモデルのように性能が高く設定されています。ベンダーオリジナルモデルは「動作クロック」や「モニター出力端子」や「補助電源のコネクタ数」が異なる場合があります。
一部に搭載メモリ量を増やしたものや減らして価格を下げたものなど、独自仕様のモデルが販売されている場合があります。
上位モデルよりも下位モデルの方が動作クロックが高い製品がありますが、クロック周波数は閾値を超えると性能向上が小さく発熱が急増してしまうため、動作クロックを下げてコア数を増やすことで性能が高くなっています。
対応している機能
Direct X12(12_1)、OpenGL4.5、Vulkan API
リアルタイム レイ トレーシング、NVIDIA G-SYNC、NVIDIA NVLink (SLI-Ready)、VR Ready、PCIe3.0、DisplayPort1.4、HDMI2.0b、USB Type-C、HDCP2.2
※標準ディスプレイコネクタからDualLink-DVIのサポートがなくなりました。USB Type-Cによるモニタの接続に対応しました。
同じグラボ2枚を接続して高性能な1枚のように動作するSLIの対応が最上位モデルに限定されました。SLIはGeForce RTX 2070以下のモデルでは非対応となります。
RTコアを持たないGTXシリーズでもDirectX Raytracing(DXR:リアルタイムレイトレーシング)に対応しました。ただし、RTコアを持たないのでDXRを有効にすると性能の低下が大きくなり、RTコアの高度な描画は無効となります。
共通の補足
ビデオメモリの動作クロックはGDDR5やGDDR6の場合は実クロックの4倍値となります。
メモリ性能 GB/sはバンド幅と動作クロックを掛け合わせた分かりやすい性能表記です。
PCI-E補助電源コネクタ数を標準で搭載するPC電源をお使いください。他のケーブルからの分岐変換する場合は電力が不安定になる原因となります。
PCI-Express接続の場合、補助電源なしで最大75W、補助電源6pinが最大75W追加、補助電源8pinが最大150W追加の電力供給となります。
GeForce RTX 2080 Ti
GeForce RTX 2080 Ti | |
---|---|
アーキテクチャ | TU102 |
プロセッサコア数 | 4352 基 |
ROP数 | 88 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1350 - 1545 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR6 - 11GB |
メモリ性能 GB/s | 約616GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 352bit - 14GHz 相当 |
電力(TDP) | 250W |
補助電源コネクタ | 8 + 8Pin |
GeForce RTX 2080 TiはGeForce GTX 1080 Tiよりも高い性能で消費電力も高くなっています。
GeForce GTX 1080 Tiでは4K解像度(3840x2160)での最新高画質ゲームは高画質設定ではまだ性能が厳しいですが、GeForce RTX 2080 Tiになると最高画質設定でも快適な性能になりました。
フルハイビジョンのマルチモニターにも最適です。4Kモニターはフルハイビジョンモニターが4枚分と同等の解像度となります。マルチモニターでもゲーム画面を表示するモニターが1枚でのフルスクリーン表示の場合は、RTX 2070以下のグラボでも十分です。
4Kモニタのフルスクリーン表示で、DX11やDX12の高画質ゲームを最高画質設定で快適に楽しむならこれ一択。新しいゲームの高画質よりも既存のゲームで性能を優先させるなら、安くなったGTX1080をSLIにするのが余裕のある高性能となります。
ビデオメモリがGDDR6となり、CUDAコア数も大きく増えているのでGTX1080Tiとの性能差が結構大きいです。
GeForce RTX 2080
GeForce RTX 2080 | |
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アーキテクチャ | TU104 |
プロセッサコア数 | 2944 基 |
ROP数 | 64 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1515 - 1710 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR6 - 8GB |
メモリ性能 GB/s | 約448GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 256bit - 14GHz 相当 |
電力(TDP) | 215W |
補助電源コネクタ | 8 + 6Pin |
GeForce RTX 2080はGeForce GTX 1080Tiよりも性能が少し高くて消費電力が低くなっています。GTX1080Tiを置き換える製品です。RTX2080Tiとは価格差が大きいですが性能差も大きいです。
DLSS対応ゲームの場合は高画質設定で大きく性能が向上するので、価格差が多少あってもGeForce GTX 1080 Tiよりもおすすめできます。
GeForce RTX 2070
GeForce RTX 2070 | |
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アーキテクチャ | TU106 |
プロセッサコア数 | 2304 基 |
ROP数 | 64 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1410 - 1620 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR6 - 8GB |
メモリ性能 GB/s | 約448GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 256bit - 14GHz 相当 |
電力(TDP) | 175W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
性能がGTX1080同等以上でTDPは下がっているのですが実消費電力が高くなっています。アプリの設計により、GTX1080とほぼ変わらない性能の場合と、大きく性能が向上する場合があります。
GPU Boost 4.0でブーストクロックが細かく切り替わるようになったことで消費電力が高い状態で動作することが増えたのかもしれません。このことは性能の落ち込みが減るので悪いことではありません。
新しいゲームをプレイする予定や価格がGTX1080と余り変わらない場合はRTX2070ををおすすめします。古いゲームが目的や価格差が大きい場合はGTX1080をおすすめします。
GeForce RTX 2070ではSLIが不可になりました。GeForce RTX 2070を2枚使って高性能な1枚のように動作させることができません。
GeForce RTX 2060
GeForce RTX 2060 | |
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アーキテクチャ | TU106 |
プロセッサコア数 | 1920基 |
ROP数 | 48基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1365 - 1680 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR6 - 6GB |
メモリ性能 GB/s | 約336GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 192bit - 14GHz 相当 |
電力(TDP) | 160W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
性能がGTX1070Tiと同等以上で、RTX 2060がGTX 1070Tiを置き換える製品となっています。
フルハイビジョン(1920x1080)では多くのゲームが最高画質で快適にプレイ可能です。最新の負荷の高いDX12ゲームでも高画質以上で楽しむことができます。
GeForce GTX 1660 Ti
GeForce GTX 1660 Ti | |
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アーキテクチャ | TU116 |
プロセッサコア数 | 1536基 |
ROP数 | 48基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1500 - 1770 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR6 - 6GB |
メモリ性能 GB/s | 約288.1GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 192bit - 12GHz 相当 |
電力(TDP) | 120W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
GTX 1000シリーズとは異なる新世代の設計ですが、RTXシリーズと異なりRTコアがありません。このため、Direct X12以降の高画質機能の一部が無効となります。
最新のGeForceドライバとGTX1060 6GBモデル以上でRTコアが無くてもレイトレーシングが有効になりました。ただし、RTコアを使わないため処理性能が低い動作となります。
性能はGeForce GTX1070と同等で消費電力は小さくなっています。GTX1070よりも安い価格で発売されました。
フルハイビジョンでDX11以前のゲームの多くが最高画質設定で快適となるグラボです。RTコアが無いため制限がありますがDX12ゲームも高画質設定でのプレイが可能です。
GeForce GTX970やGTX980が寿命を迎えた場合の買い換えにおすすめ。Direct X12ゲームにはRTX 2060や2070をおすすめします。
GeForce GTX 1660
GeForce GTX 1660 | |
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アーキテクチャ | TU116 |
プロセッサコア数 | 1408基 |
ROP数 | 48基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1530 - 1785 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 6GB |
メモリ性能 GB/s | 約192.1GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 192bit - 8GHz 相当 |
電力(TDP) | 120W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
GTX 1660 Tiよりもコア数が減り、搭載するビデオメモリのランクが下がっています。
性能がGTX1060よりも高く消費電力は低くなっています。価格的にもGTX1660はGTX1060-6GBを置き換える製品です。
RTコアは搭載せず、フルハイビジョンでDX11以前のゲーム向きとなっています。
フルハイビジョンでは多くのMMOゲームが最高画質でとても快適、FPSゲームは高画質でとても快適となります。
GeForce GTX960やGTX1060が寿命を迎えたときの買い換えにおすすめ。DirectX12ゲームにはRTX 2060をおすすめします。
GeForce GTX 1650
GeForce GTX 1650 | |
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アーキテクチャ | TU117 |
プロセッサコア数 | 896基 |
ROP数 | 32基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1485 - 1665 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 4GB |
メモリ性能 GB/s | 約128GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 128bit - 8GHz 相当 |
電力(TDP) | 75W |
補助電源コネクタ | なし |
フルハイビジョンのモニターで多くのゲームが標準以上の画質で楽しめます。
電源ケーブルの接続が不要でありながらも、GTX 1050Tiよりも大幅に高い性能となっています。GTX 1060よりは性能が低いので高画質ゲーム目的やCUDA対応アプリには微妙な性能です。
消費電力が低く性能がそこそこあるので、サブPCでゲームのログイン放置や2アカウントでの軽いプレイなどに向いています。
GeForce GTX950やGTX1050が寿命を迎えたときの買い換えにおすすめ。