グラボ GeForce 1000シリーズの選び方
概要
nVIDIA グラフィックボード (ビデオカード)のGeForce 1000シリーズを選びやすいように分かりやすく紹介しています。
GeForce GTX 1000シリーズの特長
製造プロセスが旧28nmから16nmの新世代となり省電力で大幅な性能向上を実現しています。GeForce 900シリーズよりも1ランク以上高い性能にシフトしました。
SLIのサポートが2way-SLI(2枚挿し)までになりました。ベンチマークなど一部のアプリでは3wayや4way-SLIがサポートされる場合もありますが、ゲームなどは2way-SLIまでとなります。また、GTX1060以下はSLI非対応での発売となっています。
GTX1080ではGTX980とあまり変わらない電力でSLI(GTX 980が2枚分)と同等以上の性能を実現しています。
nVIDIAの特別な設計をしたリファレンスであるFounders Editionから順次発売となっています。Founders Editionは通常リファレンスよりも品質と外装に工夫を凝らしているようです。
DisplayPortとHDMIで4K 60Hz表示に対応しています。モニタ側もDP1.2以上、HDMI2.0以上の入力に対応していている必要があります。非対応の場合に4K表示を使うと30Hzとなってマウスのカーソルなどの素早い追従ができずに位置が飛びやすくなります。
GeForce GTX 1000の比較ランク表
GeForce 900シリーズとの比較表
性能 | 1000 | 900 | 700 | 価格 |
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高い | GeForce GTX 1080 Ti | 9万円以上 | ||
↑ | GeForce GTX 1080 | (GTX 980 SLI) | ||
GeForce GTX 1070 Ti | ||||
GeForce GTX 1070 | (GTX 970 SLI) | 5万円以上 | ||
GTX Titan X | ||||
GTX 980 Ti | ||||
GeForce GTX 1060 6GB | 3万円以上 | |||
GTX 980 | ||||
GeForce GTX 1060 3GB | ||||
GTX 970 | GTX 780 Ti | |||
GTX 780 | ||||
GeForce GTX 1050 Ti | 2万円以上 | |||
GeForce GTX 1050 3GB | ||||
GeForce GTX 1050 2GB | GTX 770 | |||
GTX 960 | GTX 760 | |||
GTX 950 | ||||
GTX 750 Ti | ||||
GTX 750 | ||||
GeForce GT 1030 | 1万円以上 | |||
GT 740 | ||||
↓ | GT 730 | |||
低い | GT 710 | |||
※価格は2018年9月時点の参考値。 |
『GeForce GT 740』以下はIntel CPUの内蔵GPUに性能が劣る場合があります。
『GeForce GTX 1050』の3GB版は流通ほとんど無いようです。そのうち2GB版が置き換わるのかもしれません。
『GeForce GTX 1070 Ti』のOCモデルは一部の性能がGTX 1080に並ぶ場合がありますが、ビデオメモリ周りの違いにより全体としてはGTX 1080よりも低い性能となります。
GeForce 1000シリーズの分類
4Kモニターやマルチモニターで高画質ゲーム
3840x2160 (4K / QFHD / UHD)の解像度はフルハイビジョン 1920x1080を4枚並べた精細さがあり、それだけの映像処理性能が必要となります。
『GeForce GTX 1080Ti』で『Battlefield 1』が60Hzを超える目安となります。設定次第では『GeForce GTX 1070』でも楽しむことができます。
最高画質設定で常に快適にしたい場合は1080Tiでも性能不足となる場合があります。新世代ではGeForce RTX 2080以上でGTX1080Tiを超える性能となっています。
フルハイビジョンで高画質ゲーム
1920x1080 (FHD / フルハイビジョン)の解像度では、『GeForce GTX 1060 3GB』で多くのゲームが最高画質設定で楽しむことができます。GTX 1070では処理に余裕があり、重くなった場合でも立ち直りが早くなります。
画質設定次第で『GeForce GTX 1050 2GB』でも楽しむことができます。
120Hz対応のモニターの垂直同期で滑らかに表示したい場合は4Kモニターでの性能を参考にしてください。120Hzをモニター側での補完ではなくそのまま表示したい場合は2倍の性能が必要になります。
オンラインゲーム
『FF14 蒼天のイシュガルド』のベンチマークの最高画質設定が『GeForce GTX 1050 2GB』以上で「非常に快適」となります。場面による安定さやアップデートによる画質の向上などを見込むとGTX 1060以上が安心です。
ブラウザゲーム
ブラウザゲームはグラフィックボードよりもブラウザのCPU処理とメインメモリが重要になることが多いです。『GeForce GT 1030』でも変わらない場合が多いですが、ブラウザゲームでも画質に力を入れていれているものが増えているため、『GeForce GTX 1050 2GB』以上をおすすめします。
CUDA アプリケーション
画像や動画などでCUDAを使用する場合、『GeForce GTX 1060 6GB』以上で時間短縮など恩恵が大きくなります。CUDA処理はGTX1070以上で効率が特に高いです。GTX 1050以下ではCUDAコア数が少ないため性能の高いCPUをお使いの場合はCPU処理を使う方がよい場合があります。
マイニングで使用する場合は電力効率の高さが重要です。『GeForce GTX 1060』よりも『GeForce GTX 1080』の方が消費電力の高さ以上に性能効率が高くなります。
モデル毎の基本仕様 GeForce 1000シリーズ
こちらのスペック表記はnVIDIAのリファレンス設計を基にしています。ベンダーオリジナルモデルは「動作クロック」や「モニター出力端子」や「補助電源のコネクタ数」が異なる場合があります。
一部に搭載メモリ量を増やしたものや減らして価格を下げたものなど、独自仕様のモデルが販売されている場合があります。
上位モデルよりも下位モデルの方が動作クロックが高い製品がありますが、クロック周波数は閾値を超えると性能向上が小さく発熱が急増してしまうため、動作クロックを下げてコア数を増やすことで性能が高くなっています。
対応している機能
Direct X12(12_1)、OpenGL4.5、Vulkan API
NVIDIA G-SYNC、NVIDIA SLI(※GTX1070以上)、VR Ready(※GTX1060以上)、PCIe3.0、DisplayPort1.4、HDMI2.0b、DualLink-DVI、HDCP2.2
共通の補足
ビデオメモリの動作クロックはGDDR5の場合は実クロックの4倍値となります。
メモリ性能はバンド幅と動作クロックを掛け合わせた分かりやすい性能表記です。
PCI-E補助電源コネクタ数を標準で搭載するPC電源をお使いください。他のケーブルからの分岐変換する場合は電力が不安定になる原因となります。
PCI-Express接続の場合、補助電源なしで最大75W、補助電源6pinが最大75W追加、補助電源8pinが最大150W追加の電力供給となります。
GeForce GTX 1080 Ti
GeForce GTX 1080 Ti | |
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アーキテクチャ | GP102 |
プロセッサコア数 | 3584 基 |
ROP数 | 88 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1480 - 1582 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5X - 11GB |
メモリ性能 GB/s | 約484GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 352bit - 11GHz 相当 |
電力(TDP) | 250W |
補助電源コネクタ | 8 + 6Pin |
基本設計がGTX1080のGP104と異なり、TITAN Xと同じGP102で作られています。 CUDAコア数がGTX1080よりも1000基増えてビデオメモリの転送速度も大幅に向上しています。その分消費電力も大きく増えてしまいました。
4K (3840x2160)解像度での高画質設定も楽しめる性能になりましたが、最新のDX12ゲームや最高画質設定ではまだ性能不足となる場合があります。
WQHD (2560x1440)の解像度では多くのゲームで最高画質設定がとても快適に楽しめる性能です。
GeForce GTX 1080
GeForce GTX 1080 | |
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アーキテクチャ | GP104 |
プロセッサコア数 | 2560 基 |
ROP数 | 64 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1607 - 1733 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5X - 8GB |
メモリ性能 GB/s | 約320GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 256bit - 10GHz相当 |
電力(TDP) | 180W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
8GBのビデオメモリにGTX980 SLI同等以上の性能で、4Kモニタやマルチモニタの活用に最適。
発売直後はGTX980の2倍以上の販売価格でしたが、SLIに最適化されていないゲームでも高い性能が発揮できて消費電力が低く扱いやすくなっています。
GeForce GTX 1070 Ti
GeForce GTX 1070 Ti | |
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アーキテクチャ | GP104 |
プロセッサコア数 | 2432 基 |
ROP数 | 64 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1607 - 1683 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 8GB |
メモリ性能 GB/s | 約256GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 256bit - 8GHz 相当 |
電力(TDP) | 180W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
GTX1080とGTX1070の性能差が大きかったのですが、その間を埋めるGTX1070Tiが発売となりました。GTX1070からCUDAコア数が大幅に増えてGTX1080に性能が近づきました。
GDDR5XではなくGDDR5を採用しておりビデオメモリの性能差は依然として大きいので、高解像度やビデオメモリ性能の影響が大きいゲームではGTX1080をおすすめします。
GeForce GTX 1070
GeForce | |
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アーキテクチャ | GP104 |
プロセッサコア数 | 1920 基 |
ROP数 | 64 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1506 - 1683 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 8GB |
メモリ性能 GB/s | 約256GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 256bit - 8GHz 相当 |
電力(TDP) | 150W |
補助電源コネクタ | 8Pin |
GTX1080からコアを減らして最大性能よりもバランスを重視したモデルです。WQHD (2560x1440)の解像度を高画質で楽しめる性能です。設定を調整することで4K (3840x2160)解像度もこのクラス以上のグラボで楽しめます。
GTX970のTDP145WよりもTDPが5W高いですが、実消費電力ではGTX970よりも主に低くなっており、GTX980Tiを超える性能を実現しています。
ビデオメモリはGTX1080のGDDR5XではなくGDDR5が搭載されています。
GeForce GTX 1060 6GB
GeForce | |
---|---|
アーキテクチャ | GP106 |
プロセッサコア数 | 1280 基 |
ROP数 | 48 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1506 - 1708 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 6GB |
メモリ性能 GB/s | 約192GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 192bit - 8GHz 相当 |
電力(TDP) | 120W |
補助電源コネクタ | 6Pin |
GTX1060はSLIに非対応のため、2枚使って性能を高めることはできません。
GTX980と同程度の性能で消費電力はGTX960より少し高くGTX980よりも大幅に低くなっています。
価格はGTX960よりも高くGTX970の価格帯になっています。GTX980よりも低価格であるため、これからGTX980を検討している方にはGTX1060をおすすめします。
GTX1070とは性能差も価格差も大きくなっています。予算があるならGTX1070がおすすめ。
Direct X11ゲームをフルハイビジョンを超える解像度で高画質を楽しみたいのならばこのクラス以上の性能が必要です。フルハイビジョンでは多くのゲームが高画質で快適に楽しめます。
GeForce GTX 1060 3GB
GeForce | |
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アーキテクチャ | GP106 |
プロセッサコア数 | 1152 基 |
ROP数 | 48 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1506 - 1708 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 3GB |
メモリ性能 GB/s | 約192GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 192bit - 8GHz 相当 |
電力(TDP) | 120W |
補助電源コネクタ | 6Pin |
GTX 1060 6GB版からメモリ容量を半分にしてコア数も減らしたモデルです。コア数が少し減っているものの、ビデオメモリの容量不足となる場面以外ではほとんど性能差はありません。
フルハイビジョン (1920x1080)の1モニターでの使用では性能差はほとんどなく価格が安くお買い得となっています。
GeForce GTX 1050 Ti
GeForce | |
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アーキテクチャ | GP107 |
プロセッサコア数 | 768 基 |
ROP数 | 32 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1290 - 1390 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 4GB |
メモリ性能 GB/s | 約112GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 128bit - 7GHz 相当 |
電力(TDP) | 75W |
補助電源コネクタ | なし |
発売直後は2万円を少し下回る価格で2~2.5万円のGTX1060 3GBとの価格差が小さく性能差が大きいのでGTX1060 3GBをおすすめします。価格優先の場合はGTX1050(2GB)がおすすめです。
GeForce GTX 960にとても近い性能で消費電力が大きく低下しており、PCI-E補助電源の接続が不要になりました。製品によっては性能でGTX960を上回る場合があります。
GeForce GTX 1050 3GB
GeForce | |
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アーキテクチャ | GP107 |
プロセッサコア数 | 768 基 |
ROP数 | 32 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1392 - 1518 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 3GB |
メモリ性能 GB/s | 約84GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 96bit - 7GHz 相当 |
電力(TDP) | 75W |
補助電源コネクタ | なし |
GTX1050Tiからメモリ量を減らして帯域も減ったモデルです。
コアのROP数も減ってるのでGTX1050Tiの生産不良救済モデルでしょうか?GTX1050Tiから一部を無効化したり減らした製品であればGTX1050-2GBモデルを作るよりコスト的に有利になりそうです。活用されれば2GBモデルを置き換える製品になりそうですが、ほとんど流通していないので大量生産されずに消えていくことになるかもしれません。
GeForce GTX 1050 2GB
GeForce | |
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アーキテクチャ | GP107 |
プロセッサコア数 | 640 基 |
ROP数 | 24 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1354 - 1455 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 2GB |
メモリ性能 GB/s | 約112GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 128bit - 7GHz 相当 |
電力(TDP) | 75W |
補助電源コネクタ | なし |
GeForce GTX960と950の間の性能です。GTX1050Tiとの性能差がありますが、GTX1050TiとGTX1060 3GBの性能差よりも小さな開きで価格相応となっています。
ビデオメモリ容量が2GBですがこれはGTX960と同じで、フルハイビジョン (1920x1080)の1モニターでの使用ではあまり問題のない容量ですが、最新のDX12ゲームではビデオメモリ容量を多く使う場合があるのでビデオメモリの容量不足による性能低下に注意が必要です。
価格と性能のバランスは高いものとなっています。
GeForce GT 1030
GeForce | |
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アーキテクチャ | GP103 |
プロセッサコア数 | 384 基 |
ROP数 | 16 基 |
コアクロック(標準-ブースト) | 1227 - 1468 MHz |
ビデオメモリ種類 - 容量 | GDDR5 - 2GB |
メモリ性能 GB/s | 約48GB/s |
メモリバンド幅 - クロック | 64bit - 6GHz 相当 |
電力(TDP) | 30W |
補助電源コネクタ | なし |
GT740よりも大幅に性能が高くてGTX750よりも低い性能で低解像度のゲームやデスクトップのマルチモニター向き。
DX9のオンラインゲームは解像度をハイビジョン (1280x720)に下げたり画質設定を調整すれば快適なプレイも可能です。消費電力が低いのでサブPCでの放置プレイ用に最適。