Cooler Master (クーラーマスター) の V1200 PLATINUM (RSC00-AFBAG1-JP) は、最大容量1200Wで80PLUS PLATINUMの認証を受けたPC電源です。
PC電源は日本ではAC100Vから各機器で使用するための電圧を作って出力するための装置になります。
最大容量はあくまでも最大の容量であって、実際の電力は必要とされる電力で決まります。例えば、600Wを使うシステムであれば、電源の最大容量が1200Wであっても実際の使用電力は600Wになります。
CPUは第四世代のIntel Core Processor と グラフィックボードは3Way-SLI、4Way-SLI、CrossFireX構成に対応しています。
・発売日:2014/08/15
・保証期間:7年間
・メーカーサイト
CoolerMaster: ハイエンド電源 Vシリーズ :V1200 Platinum
製品詳細はメーカーサイトでご確認ください。
このパッケージは「US TYPE」になっています。JP TYPEではパッケージ外装など若干異なる箇所が考えられます。生産は中国です。現在では多くの製品が中国生産ですので、メーカーの品質管理ができていればどこの国で生産しても変わりません。
ケーブルは二つのポーチに、電源本体もポーチ袋に保管でき、そのうち使うかも知れないケーブルの出し入れなどの管理がしやすくなっています。
電源本体は大きさを感じさせないスマートな作り。持つとずっしり重いです。重さは約2.2kg。
結束バンドと取り付けネジ。
入力電力:AC 100-240V 15-7.5A 60-50Hz対応
DC OUTPU | +3.3V | +5V | +12V | -12V | +5Vsb |
---|---|---|---|---|---|
25A | 25A | 100A | 0.5A | 3A | |
TOTAL POWER | 125W | 1200W | 6W | 15W | |
1200W |
+12V以外は標準的な容量です。現在はほとんどの機器が+12Vを優先して使うため、他が足りなくなることは通常は起こりません。+5VsbはPCがスリープ中にも出力される電力です。2A以下では不足することがあるため、現在は3Aが主流になっています。
+12Vが1系統に集約されており最大1200Wの出力に対応しています。+12VがV1/V2と分かれている場合はケーブル毎の電力を考慮して接続する必要がありますが、V1200 PLATINUM では1系統にまとまっていますので、ケーブルは繋げやすい機器に繋げることで問題ありません。
保護回路 | 国際規格 (安全認証) | |
---|---|---|
OVP | 過電圧保護 | CE |
UVP | 低電圧保護 | TUV |
OPP | 過負荷保護 | TUV-SUNDNRTL |
OTP | 過温度保護 | FCC |
OCP | 過電流保護 | EAC |
SCP | ショート回路保護 | CCC |
BSMI | ||
RCM |
電源は異常が起きたときにそのまま動作を続けるよりも、異常があれば安全に停止してくれる方が安心です。また、異常があった場合に保護回路が正常に動作しなければ意味がありません。ただ搭載しているのでは無く、正しく機能する実績のあるメーカー製が安心です。粗悪品の場合、保護回路がないまたは機能しないことで接続している他のパーツを故障させてしまうことがあります。特に、電力が大きい場合は火事に繋がる危険性もあるため、大容量電源はクーラーマスターなど古くから信頼と実績のあるメーカー製がおすすめです。
ファン制御を切り換えるブラケットが付属。スイッチをHybridにすると、負荷が低いときは回転が止まります。気温が低い冬はHybridで、気温が高い夏はAutoで使うと良さそうです。こういう機能は別接続ではなく電源スイッチの近くに搭載して欲しかったです。コネクタを接続しない場合はAutoになります。低回転時は他のファンの音に紛れてしまう静音なので、常にAutoで問題ありません。
負荷率 | 80PLUS |
80PLUS BRONZE |
80PLUS SILVER |
80PLUS GOLD |
80PLUS PLATINUM |
---|---|---|---|---|---|
20% | 80% | 82% | 85% | 87% | 90% |
50% | 80% | 85% | 88% | 90% | 92% |
100% | 80% | 82% | 85% | 87% | 89% |
80PLUSでは負荷が低いときも高いときも認証を受けるには高い変換効率を実現する必要があります。
80PLUS Platinum 認証は100%の負荷でも89%以上、20%の低負荷でも90%以上の効率であることを表しています。
ケーブルはフルモジュラー方式です。メイン電源ケーブルを含め、すべてのケーブルが必要に応じて接続する着脱式になっています。
ケーブルの長さは、コネクタの取り回しなどにより、実際の距離よりも余裕が無いと取り付けができなくなります。 先端以外の途中のコネクタを使用する場合、全体の長さは短くなります。接続できるケーブルの本数が多いので届かない場合は別のケーブルを使うことで解決できます。
※ペリフェラルのケーブルの1本にはフロッピー用の電源コネクタが付いています。フロッピー用のコネクタはフロッピー以外にファンコンコントローラーなどの接続にも使われます。意外と現在でも使うことがあるコネクタです。
[写真左] マザーボードのメイン電源コネクタは、電源側は18+10pinの2段になっています。
[写真右] CPU、PCI-E、SATAケーブルを1本ずつ繋げた場合。
PCI-Eコネクタはケーブル6本が接続可能 (1本のケーブルに2つで最大12コネクタの接続が可能) なので、8+8pinのビデオカードが6枚接続できます。1枚のビデオカードにコネクタを3つ以上使う製品が登場しても安心です。
実際にはビデオカードのRadeon R9-295X2はコネクタ数は8+8pinでありながらも、必要な電力はPCI-E8ピンの規定を超えた電力を必要としています。V1200 PLATINUMでは+12Vがまとまっており、ケーブル毎に出力が制限されずに全体で100A対応のため、このような電力の要求でも問題なく対応できます。また、取り付け可能なケーブル数に余裕があるため、多くの電力を必要とする場合は、1本のケーブルで1つのコネクタとして接続し、安定化を図るのも良いでしょう。
メイン電源のケーブルは太く丸く束ねてありますが、他はストレートに平らに繋がっています。平らなケーブルは、マザーボードの背面に回す場合など、複数のケーブルが交差する場合に厚みができないのが特徴です。厚みができるとカバーが閉まらないなど起こりますが、薄い状態のケーブルではそのような心配がいりません。その代わり、強く折り曲げるやどこかに引っかけるなどの断線に注意して扱う必要があります。
消費電力測定器のWattsup?ProとサブPCで使用しているAntec SG-850電源との消費電力比較です。
Wattsup?Pro自体の消費電力が1.2~1.5Wで変動していますのでご了承ください。1W未満の変動は誤差として切り捨ててしまって構いません。また、できるだけ同じ条件での測定になるようにしてますが、Windows PC自体の変動も多少あります。
左側がCoolerMaster V1200 PLATINUM (RS-C00-AFBA-G1)、右がAntec SG-850。
1000W超えの大容量電源としてはそれほど奥行きは伸びておらず、SG-850よりも1cm長い19cm。実際の取り付けでは、コネクタとケーブルを差し込むほどの余裕のスペースが必要です。ギリギリの寸法ではケーブルが入らない!ということになるので注意が必要です。電源の取り付けスペースはPCケースの構造に依存します。
ファンガードは外に出っ張らない平らなタイプですので、奥行き以外は取り付けの心配は不要です。PCケースの構造に合わせて、ファンを上向きに取り付ける場合や下向きに取り付ける場合、どちらでも構わない場合があります。基本的に電源の向きは、電源のファンがケースのカバーに塞がれずに空気を吸い込める方向に向けて取り付けます。
消費電力の測定にはWattsup?Proを用いています。通知される電力にはWattsup?Pro自体の消費電力が含まれています。これは1.2~1.5Wの幅があります。
Wattsup?Proの動作電力
10分間の測定。ここでは1.3~1.4Wで変動しています。
Wattsup?Proが動作中の消費電力です。機器の消費電力はこれにプラスされます。0.3Wは確実に誤差があります。また、測定機器の微妙な動作状態の違いによっても多少の誤差が生じます。測定間隔は最短1秒であるため、1秒未満のピーク電力は正しく測定できません。データは別のPCで受信しているため、検証用PCへの影響はありません。
比較対象の電源はAntec SG-850。80PLUS BRONZE認証の最大容量850Wの電源です。
・【購入レビュー】Antec Signature SG-850
最大容量1200Wの80PLUS PLATINUM認証電源は、負荷が低いときの消費電力に無駄が生じていないかを検証します。最大容量が大きくなるほど設計も大型になり、電源自体の消費電力が大きくなりますが、CoolerMasterのV1200 PLATINUMは高効率の80PLUS PLATINUM認証ですので無駄な消費電力はとても少ない設計になっています。
シャットダウンしても+5Vsbは出力されています。
電源の背面スイッチを切ると、すべての出力が止まり0Wになります。
V1200 | SG-850 |
---|---|
4.5W | 4.7W |
5分間安定した時の電力です。
V1200 シャットダウン状態での電力
SG-850
V1200 | SG-850 |
---|---|
64W | 69.3W |
5分間安定した時の電力です。デスクトップ画面を表示して、無操作で負荷が掛かっていない状態です。
V1200 アイドル時の消費電力
SG-850
V1200は待機時の消費電力がSG-850よりも僅かに低下しています。これは、電力の生成が必要ない場合でも大容量設計による無駄な消費電力がほとんど生じてないことを意味しています。
V1200 | SG-850 |
---|---|
5.7W | 6.1W |
5分間安定した時の電力です。PCをスリープモードにした時の消費電力です。スリープモードはメモリに通電されてデータが保持されており、すぐにPCを起動できるスタンバイ状態です。
V1200 スリープモードの消費電力
SG-850
V1200 起動時の電力
SG-850
起動直後の立ち上がりは、瞬間的なピーク電力であるため、1秒間隔のタイミングにより捉えきれませんが、全体として負荷が高まるときはV1200はSG-850よりも10W程低くなっています。最大容量が大きくなっても、容量の違いを埋め合わせるほどに80PLUS BRONZEとPLATINUMでの効率の違いは大きいようです。
FF14 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編の測定を3回行っています。CPUとGPUの両方の負荷が高く、一瞬だけ消費電力が高くなる場面が少ないため、負荷時の全体の傾向が見やすいベンチマークです。
V1200 FF14ベンチマークの電力
SG-850 FF14ベンチマークの電力
瞬間的なピーク電力を除き、V1200 PLATINUMは130W以下、SG-850は140W以下となっています。負荷が高くなるほどに、電源の効率の差が消費電力に大きく表れています。
更に負荷を高くして検証を行うために、ビデオカードを最大188WのRadeon HD5870に変更。CPUの電圧を上げて約3.5GHzにオーバークロックしての測定です。
V1200 起動時の電力
SG-850 起動時の電力
V1200 FF14ベンチマークの電力 3回測定
SG-850 FF14ベンチマークの電力 3回測定
300Wの負荷で10Wの差が生じています。V1200 PLATINUMは無駄な消費電力が少なく、電源の効率の違いにより、同じ構成では容量は増えているのに消費電力が下がるという素晴らしい結果になりました。
電源の大きさ(奥行き)と予算がクリアできるならば、小容量の電源の代わりに選んでも問題ありません。最大容量の大きな電源を小容量で使うと無駄な消費電力が増えるというのは過去のことになりました。
電源の効率を表す80PLUS認証により、上位の認証が受けられる電源は効率が高くなることで、最大容量が少ない電源よりも電源自体の消費電力は上がるのではなく下がる場合があるという結果になりました。とても小さな出力となるアイドル時とスリープ時共に無駄な消費電力は古いBRONZE認証電源よりも少なくなっています。
容量に対する割合 | 20% | 50% | 80% | 100% |
---|---|---|---|---|
容量 | 240W | 600W | 960W | 1200W |
80PLUS PLATINUM | 90% | 92% | 89% |
250Wのビデオカード3枚(3Way-SLIやCrossFireX)で750W。
CPUに150W。(TDP135WのCore i7 Extremeをオーバークロック)
その他100W。
で、1000Wの構成となります。
200Wのビデオカード2枚(SLIやCrossFire)で400W。
CPUに100W。
その他100W。
で600Wの構成となります。
600Wは1200W電源の50%となり、一番効率の高い出力です。容量に余裕があり発熱が少なく、長持ちしやすい条件です。しかし、日本は高温多湿による経年劣化が大きい地域ですので、全体の寿命として長持ちになるのかは未知数です。