Cooler Master (クーラーマスター) の GXII Pro 550W (RS-550-ACAAB1) は、最大容量550Wで80PLUS BRONZEの認証を受けたPC電源です。
PC電源は日本ではAC100Vから各機器で使用するための電圧を作って出力するための装置になります。
最大容量はあくまでも最大の容量であり、実際の電力は必要とされる電力で決まります。
例えば、300Wの出力が必要なシステムであれば、電源の最大容量が550Wであっても実際の使用電力はほぼ300Wになります。
・発売日:2014/07/112014/07/18に延期になりました
・保証期間:5年間
・メーカーサイト
CoolerMaster: スタンダード電源 GXII PRO シリーズ
製品詳細はメーカーサイトでご確認ください。
クーラーマスターよりお借りしたパッケージを基にしております。このパッケージは「UK TYPE」になっています。「JP TYPE」とはパッケージ外装など若干異なる箇所が考えられます。パッケージに付属する電源コードが日本仕様とは異なりました。電源本体は同じであるため、日本の電源コードが使用できますので、ここでは付属の電源コードは使わずに検証しております。
生産は中国です。現在では多くの製品が中国生産ですので、メーカーの品質管理ができていればどこの国で生産しても変わりません。
電源コードは直出しタイプ。ケーブルは必要最低限の数になっています。電源を固定するためのねじ付属。
ファンは120mm 静音ファンを搭載。下向きにしたときに段差が作られており、少しでも吸気しやすいように工夫されています。
ケーブル込みの重量は1717g。PC本体を頻繁に引っ張り出す場合に電源の重みはとても気になる要素です。本体のみで2Kgの電源と比べると体感の違いは大きいです。
入力電力:AC 100-240V 9-4.5A 60-50Hz対応
DC OUTPU | +3.3V | +5V | +12V | -12V | +5Vsb |
---|---|---|---|---|---|
20A | 20A | 44A | 0.3A | 2.5A | |
TOTAL POWER | 120W | 528W | 3.6W | 12.5W | |
550W |
+12V以外は標準的な容量です。現在はほとんどの機器が+12Vを優先して使うため、他が足りなくなることは通常は起こりません。+5VsbはPCがスリープ中にも出力される電力です。2A以下では不足することがあるため、現在は3Aが主流になっています。余裕のある3Aではありませんが、2.5Aあれば問題になることはほぼありません。
+12Vが1系統に集約されているので容量を限界まで生かすことができます。+12VがV1/V2と分かれている場合はケーブル毎の電力を考慮して接続する必要があり、実際に使える電力は接続系統により制限されてしまいますが、1系統にまとまっている場合は全体の容量をギリギリまで使うことができます。
保護回路 | 国際規格 (安全認証) | |
---|---|---|
OVP | 過電圧保護 | CE |
UVP | 低電圧保護 | UL |
OPP | 過負荷保護 | FCC |
OTP | 過温度保護 | CCC |
OCP | 過電流保護 | TUV |
SCP | ショート回路保護 | C-tick |
KCC | ||
CSA | ||
BSMI | ||
GOST |
電源は異常が起きたときにそのまま動作を続けるよりも、異常があれば安全に停止してくれる方が安心です。また、異常があった場合に保護回路が正常に動作しなければ意味がありません。ただ搭載しているのでは無く、正しく機能する実績のあるメーカー製が安心です。粗悪品の場合、保護回路がないまたは機能しないことで接続している他のパーツを故障させてしまうことがあります。特に、電力が大きい場合は火事に繋がる危険性もあるため、大容量電源はクーラーマスターなど古くから信頼と実績のあるメーカー製がおすすめです。
日本の家庭コンセントは、電気設備が古い建物では他の電気機によりコンセント電圧が大きく低下することがあります。そのようなコンセント電力が不安定な場合でも入力が90Vに対応している電源を使うとトラブルが起こりにくく安心です。
他の電気機により発生するコンセントノイズの影響を抑える設計がされています。
単に日本製コンデンサを搭載というだけでは、販売のための謳い文句に1つ乗せただけに過ぎない場合がありますが、クーラーマスターのGXII Proシリーズは全体の品質を考慮して使われており、PC電源として5年間の長期保証となっています。
負荷率 | 80PLUS |
80PLUS BRONZE |
80PLUS SILVER |
80PLUS GOLD |
80PLUS PLATINUM |
---|---|---|---|---|---|
20% | 80% | 82% | 85% | 87% | 90% |
50% | 80% | 85% | 88% | 90% | 92% |
100% | 80% | 82% | 85% | 87% | 89% |
80PLUSでは負荷が低いときも高いときも認証を受けるには高い変換効率を実現する必要があります。
容量が小さい場合はBRONZEとGOLDの実際の電力差は小さいですが、価格への影響は大きくなります。このクラスの電源では、価格とのバランスを考慮すると80PLUSブロンズが妥当なところです。
GXII Proシリーズは450W/550W/650Wの3モデルが用意されています。
日本モデルは
・GXII PRO 450W (RS-450-ACAAB1-J1)
・GXII PRO 550W (RS-550-ACAAB1-J1)
・GXII PRO 650W (RS-650-ACAAB1-J1)
容量に対する割合 | 20% | 50% | 80% | 100% |
---|---|---|---|---|
容量 450W | 90W | 225W | 360W | 450W |
容量 550W | 110W | 275W | 440W | 550W |
容量 650W | 130W | 325W | 520W | 650W |
80PLUS BRONZE | 82% | 85% | 82% |
ビデオカードが1枚の一般的な構成に向いています。必要最低限のPC構成の場合、PCI-E補助電源コネクタが1つのみのビデオカード搭載には450Wモデルで十分、2本接続が必要なビデオカードでは550Wモデルが安心です。
品質の良い電源の場合は容量の80%を使用していても問題ありません。品質の悪い電源では例え50%の容量で使用していても出力される電力が不安定になるのでは意味がありません。
各モデルとも形状とケーブルコネクタの構成は同じになっています。
ケーブルは必要最低限の直出しケーブルとなっています。
コネクタのピン数 | コネクタの数 | ケーブルの数 | 全長 | コネクタ間の長さ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
MB | 20+4pin | 1 | 1本 | 50cm程度 | ||
CPU | 4+4pin | 1 | 1本 | 63cm程度 | ||
PCI-E | 6+2pin | 2 | 1本 | 50cm程度 (1つ目の距離) |
||
SATA | 3 | 2本 | 65cm程度 | 45-10-10cm | ||
Peripheral | 4pin | 3 | 1本(※) | 75cm程度 | 45-15-15cm | |
Floppy | 4pin | 1 | 1本 (※) | 90cm程度 | 45-15-15-15cm |
このクラスはケーブルの長さが長くないことに注意。電源とSATAドライブ類が離れすぎている場合は延長ケーブルが必要になる可能性があります。
※ペリフェラルのケーブルの1本にはフロッピー用の電源コネクタが付いています。フロッピー用のコネクタはフロッピー以外にファンコンコントローラーなどの接続にも使われます。意外と現在でも使うことがある電源コネクタです。
SATAケーブルは2本でそれぞれ3つのコネクタが付いています。1本は連続して取り付けられているHDD/SSDの接続に使います。離れている光学ドライブにもう1本を使用します。
PCI-E電源ケーブルは1本で、6+2pinが2つ付いており、8+8pinのビデオカードも使用できます。2つのコネクタ間が長いので、電源コネクタが1本のビデオカードを2枚の接続にも繋げることができます。
SATA(シリアルATA)コネクタが足りない場合、位置が離れていて距離を延長させたい場合、空いているペリフェラルコネクタからSATA変換ケーブルを接続することで解決することができます。
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消費電力測定器のWattsup?ProとサブPCで使用しているAntec SG-850電源との消費電力比較です。
Wattsup?Pro自体の消費電力が1.2~1.5Wで変動していますのでご了承ください。1W未満の変動は誤差として切り捨ててしまって構いません。また、できるだけ同じ条件での測定になるようにしてますが、Windows PC自体の変動も多少あります。
左側がGXII PRO 550W (RS-550-ACAAB1)奥行き14cm、
右側が Antec SG-850(850W) 奥行き18cm。
奥行き14cmであれば一般的なPCケースでは問題なく取り付けできますが、18cmになるとPCケースの構造によっては、ケーブルがはみ出てくる分のスペースが問題になる場合があります。
重さの比較 | |
---|---|
RS-550-ACAAB1 | SG-850 |
1717g | 2757g |
SG-850も最小構成のケーブルを含めた重さです。約1kgの違いがあります。
消費電力の測定にはWattsup?Proを用いています。通知される電力にはWattsup?Pro自体の消費電力が含まれています。これは1.2~1.5Wの幅があります。
Wattsup?Proの動作電力
10分間の測定。ここでは1.3~1.4Wで変動しています。
Wattsup?Proが動作中の消費電力です。機器の消費電力はこれにプラスされます。0.3Wは確実に誤差があります。また、測定機器の微妙な動作状態の違いによっても多少の誤差が生じます。測定間隔は最短1秒であるため、1秒未満のピーク電力は正しく測定できません。データは別のPCで受信しているため、検証用PCへの影響はありません。
比較対象の電源はAntec SG-850。80PLUS BRONZE認証の最大容量850Wの電源です。
・【購入レビュー】Antec Signature SG-850
同じ80OLUS BRONZE 認証電源ですが、消費電力に違い出るのかを検証します。PC電源は各パーツに供給する他に電源自体が消費する電力と電力の変換効率による消費があります。この違いは容量が大きいほど影響が大きくなりますが、PCの場合は消費電力が大きい動作ほど振れ幅が大きく誤差も大きく(測定を繰り返すとそれぞれ値が異なる状況に)なります。
シャットダウンしても+5Vsbは出力されています。
電源の背面スイッチを切ると、すべての出力が止まり0Wになります。
RS-550-ACAAB1 | SG-850 |
---|---|
4.3W | 4.7W |
5分間、安定した時の電力です。
RS-550-ACAAB1
SG-850
RS-550-ACAAB1 | SG-850 |
---|---|
65.7W | 69.3W |
5分間、安定した時の電力です。デスクトップ画面を表示して、無操作で負荷が掛かっていない状態です。
RS-550-ACAAB1
SG-850
RS-550-ACAAB1 | SG-850 |
---|---|
5.8W | 6.1W |
5分間、安定した時の電力です。PCをスリープモードにした時の消費電力です。スリープモードはメモリに通電されてデータが保持されており、すぐにPCを起動できるスタンバイ状態です。
RS-550-ACAAB1
SG-850
シャットダウンから電源投入後2分間の測定です。測定間隔が最短1秒であるため、1秒未満のピーク電力は測定に正しく反映されません。
RS-550-ACAAB1
RS-550-ACAAB1はブート直後のピーク電力が抑えられています。数回測定してすべて同じ傾向なので、1秒間隔のタイミングが合わずに消えているのとは違うようです。
横の長さが異なるのはグラフの設定と測定開始のタイミングによるものです。
SG-850
SG-850のブート直後のピーク電力は170W近くに及んでいます。
FF14 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編の測定を3回行っています。CPUとGPUの両方の負荷が高く、一瞬だけ消費電力が高くなる場面が少ないため、負荷時の全体の傾向が見やすいベンチマークです。
RS-550-ACAAB1
1280x720 標準品質
1920x1080 最高品質
1920最高品質と1280標準品質で時間の長さが異なるのは、読み込み時間の差が現れています。高画質設定ほど場面の切替などの読み込み時間が長くなるために測定時間が長くなっています。
SG-850
1280x720 標準品質
1920x1080 最高品質
80PLUS BRONZE同士でも出力できる最大容量の違いや設計の効率化等により、効率の良い電源ではコンセント電力が下がることがあります。
最小構成ではスリープ時の消費電力がシャットダウンから+1.5Wしかないので、シャットダウンよりも起動が早いスリープが常用で良いのでは無いでしょうか。Windows8.1対応の最新のPCでは省エネ化が進んでいるのでもっと低くなる可能性があります。