Radeon HD4000シリーズ 案内
概要
グラフィックカードRadeonシリーズのHD4000シリーズをまとめています。
- 最新AMD-ATI Radeon情報 HD5000シリーズとRadeonの詳細はこちら
Radeon HD4000
PCI-E補助電源なし、ロープロファイル対応モデルはHD4000シリーズ。HD5700シリーズが発売されたことで、消費電力が高いですが同等の性能で在庫処分のRadeonHD4800シリーズも狙い目?
HD4000シリーズはすべてDirectX 10.1対応!Windows 7ではX10.1で効率よく動作するように設計されています。
映画とゲームの融合を目指したビデオカードで、HD3800からアーキテクチャが大幅に変更されています。ビデオ再生支援機能であるUVDもUVD2に進化して、よりクッキリと映像が表示されます。
売れ筋は手ごろな価格で高画質なゲームも楽しめるHD4850、PCI-E補助電源不要でそこそこ楽しめるHD4670、ロープロファイルでもゲームが可能なHD4550、動画再生にHD4350。
Radeon HD4870X2
☆☆☆☆☆ とにかく高い性能が欲しい人向き、フルハイビジョンで高画質を求める方に
1GPUで性能が高く大幅に消費電力が低くなったHD5870が登場。2GPU構成のため性能を生かせないゲームもあり、今HD4870X2を選ぶ理由はほぼなし。
GeForce GTX295の登場で最高性能の座を明け渡しました。消費電力は286Wととなり、Radeon HD4870 160WのCrossFireよりも扱いやすくなっています。6ピン+8ピンのPCI-E補助電源の接続が必要です。フルハイビジョンでの最高画質設定では、このクラスでもまだ性能が不足する場合があります。HD4870X2同士のCrossFireや下位のHD4870やHD4850とのCrossFireにも対応しています。
このクラスになるとPCI-Express x16(1.0/1.1)は帯域不足でボトルネックとなるため、2倍の帯域を持ったPCI-Express x16(2.0)の接続が推奨されます。
Radeon HD4890
★★★☆☆ HD4870のクロックアップ版
HD5850ではHD4890よりも性能が大幅アップで消費電力が低いため価格差と在庫次第で選びます。
クロックを高めて性能が1割向上。最大消費電力は190WでPCI-E補助電源は2つ使用。クロックアップ分、最大消費電力が高くなりますが、アイドル時の消費電力はHD4870よりも小さくなりました。GeForce GTX260の性能と同等。
Radeon HD4850X2
☆☆☆☆☆ メリットはほとんど無し。
Radeon HD4850のCrossFireを1枚にまとめたもの(2GPU構成)です。CrossFireよりも電力効率が高いのが特徴。性能はGeForce GTX280に近いですが、2GPUの性能を発揮できないと単体のHD4850に近い性能となってしまいます。
最高性能となるRadeon HD4870X2または1つのGPUで消費電力が低いGeForce GTX285をおすすめします。
Radeon HD4870
★☆☆☆☆ 画質重視で動きがシビアなFPSゲームに
Radeon HD4870の消費電力は最大で160Wととなり、補助電源はPCI-E 6ピンが2つ必要です。HD4890の価格が下がったことで、HD4870の魅力は低下。単精度浮動小数点演算の性能は1.2TFLOPs。
Radeon HD4850
★★★★☆ ワイド解像度で無ければ、高画質設定でもこれで十分なゲームが多い
Radeon HD4850の消費電力は最大110Wで補助電源はPCI-E 6ピンが1つのみで、性能はかつてのハイエンドクラスですが、買いやすい価格になりました。基本性能はHD4770よりもHD4850が高く現在はかなり近い価格で販売されています。単精度浮動小数点演算の性能は1.0TFLOPs。
Radeon HD4830
★★☆☆☆ 補助電源不要タイプが出回る
GeForce 9600GTより性能が高く、Radeon HD4850よりも性能が低い。RadeonHD4770の発売により選ぶ理由のなくなったHD4830ですが、補助電源コネクタ不要の低消費電力版が登場したことで人気商品となるかもしれません。
Radeon HD4770
★★★★★ 新世代40nmによるコアと高速GDDR5メモリを搭載して低価格
高速なビデオメモリを搭載し高クロックなGPU搭載でRadeonHD4830よりも高性能に。SP数はRadeon HD4670の2倍の640、コアクロックはRadeon HD4850よりも高い750MHz。メモリバス幅は128bitながらも、高速なGDDR5メモリを搭載。最大消費電力は80WでPCI-E6ピンの補助電源コネクタの接続が必要。消費電力が低く価格が1~1.5万円なので、2枚のCrossFireが面白い。
Radeon HD4730
☆☆☆☆☆ HD4770より低性能で消費電力が高い
品質に問題のあるGPUコア(低電圧ではうまく動作しないコア)を活用するためのラインアップと思われます。価格はHD4770とほとんど変わらずに、性能は低く消費電力の高いモデルです。
Radeon HD4670 / HD4650
★★★★☆ 消費電力が低く、動画再生とちょっとしたゲームに
補助電源不要でカード長も短くMicro ATXのPCケースでも使えるビデオカードです。消費電力は59Wで、性能はGeForce 9500GTと9600GTの間に位置します。9600GTはカード長が長く補助電源の接続が必要なので、扱いやすく3Dゲームの楽しめるのがHD4670の特徴です。低解像度に於いては、多くのゲームで問題なくプレイできる30fpsの性能が確保されるようです。場合によっては、HD3850の性能をも凌駕します。動画再生支援機能はHD4800と同じUVD2を搭載しています。
HD4650はゲーム性能はとても低いですが、メインはUVD2による動画再生用として、低画質ゲームも楽しめるのがポイントになります。
Radeon HD4550/HD4350
★★☆☆☆ ビデオカード非搭載のPCに、動画再生やWindows Aero用に
チップセットに内蔵の描画機能よりも高性能。ビデオカードが処理をすることで、CPUの負担が減ります。サブPCでオンラインゲームする場合はHD4550でもそれなりに使えます。
性能ランク表
性能 | Radeon DX10.1対応 |
Radeon DX11対応 |
(GeForce) | 価格帯 |
---|---|---|---|---|
高い | HD5970 | 7~5万円 | ||
↑ | GTX295 | |||
HD4870X2 | HD5870 | 6~4万円 | ||
HD5850 | 4~3万円 | |||
GTX285 GTX275 |
5~3万円 | |||
HD4890 | HD5770 | GTX260 | 3~1.7万円 | |
HD4870 | ||||
HD4850 |
HD5750 | GTS250 | 1.8~1.2万円 | |
HD4770 | 1.6~0.8万円 | |||
HD5670 | 9800GT 9600GT GT240 |
|||
HD4670 | 9000~6000円 | |||
HD5570 | ||||
GT220 | ||||
HD4650 | ||||
↓ | HD4550 | HD5450 | 7000~3000円 | |
低い | HD4350 |
GeForceに最適化されているゲームでは、性能が下のGeForceに劣る場合があります。また、処理速度とは別に高画質機能が無効になり画質が悪くなるなど制限が生じる場合があります。
Mobility RadeonはノートPCに搭載されるビデオカードであり、単体販売はありません。
Radeon HD5000はDirect X11対応、HD4000はX10.1対応、GeForceはX10対応とX10.1対応が混在しています。Direct X9も高性能に動作可能ですがX8以前では性能が発揮されません。
用語
- PCI-Express 2.0
- 転送速度が1.1の2倍に広がった帯域です。PCI-Express2.0対応のビデオカードをPCI-Express 1.1のソケットに接続しても問題はありません。CrossFireやX2仕様のビデオカードでは1.1では帯域不足が性能に表れることがありますが、それ以外では問題になりません。
- GPU
- ビデオカードのCPUのようなもの。映像処理を行うコア。
- VRAM (ビデオメモリ)
- ビデオカードのメモリ。映像を組み立てる場所。16MBあればQXGA(2560x1600)サイズでもフルカラーの表示が可能。3Dゲームでは出力される映像の組み立て以外にも使われるので、WUXGA(1920x1200)サイズでは512MB以上(高画質ゲームでは1GB以上)を推奨。メインメモリと同じで容量が余っていても速度は向上しないが、足りなくなると遅くなります。
- GDDR5/GDDR3/DDR3/DDR2
- VRAMの種類。GDDR5はGDDR3の最大5倍の性能が可能。帯域幅が狭くてもGDDR3よりも高速。GPUとセットで搭載されるので単体での性能は気にする必要なし。GPUの性能が低く高性能なVRAMを搭載しても無意味。ビデオカードの一部なので、メインメモリがDDR2でも関係ありません。
- Direct X
- Direct Xを使うことでグラフィック処理を行います。X9→X10ではより効率よく動作させるために設計が大幅に変わりました。X10.1やX11では効率の良い処理と高画質を実現するために機能が追加されています。
- GPGPU
- CPUの補助としてGPUで映像以外の処理を行う機能です。CUDAやATI Streamがこの機能です。
- GPUクーラー
- GPUやVRAMを冷却するためのもの。1スロット仕様では厚みが制限されるためファンの回転数を上げる必要があり音がうるさい。発熱が少なければファンなしも可能ですが、空気の流れがないと熱が蓄積されるので注意が必要。
- リファレンス
- Reference。GPUメーカーが作るのと同じ仕様でカードメーカーが生産。リファレンスでは設計がどのメーカーでも同じになるので、サポート体制(保証制度など)でメーカーを選びます。日本では一般的に海外メーカーの代理店でのサポートになります。初めはどのメーカーもリファレンスモデルで、そこから独自設計のものが作られて発売されるようになります。
- Windows Aero
- Windows Vista以降では、CPUの代わりにビデオカードがウインドーの描画などを担当します。CPUが他の処理に専念できるため、たくさんのウインドーを表示していても快適。Windows7ではDirect X10の機能を生かして、Vistaよりも効率が向上。
- CrossFire
- 2つのGPUを連携させて性能を高めます。2つのGPUが分かれているため、処理によっては単体で処理するよりも性能が低くなる場合があります。1枚のビデオカードで内部CrossFireになっているものがX2です。HD4870X2はHD4870を2枚接続しているのと性能が同等です。
- PCI-E補助電源
- マザーボードからPCI-Expressに供給されている電力で足りない場合、電源からのケーブルを直接接続する必要があります。PCI-Express x16 1.1では75Wまでなので、190Wのビデオカードでは残り115Wを電源から直接供給する必要があります。8ピンが6+2ピン構成の場合、6ピンとしても使用することができます(2ピンが余る)。CPU補助電源の8ピンとは異なるので注意。これらは12Vで供給されるので電源の12V出力が重要です。現在は出力に合わせたPCI-E補助電源コネクタが搭載されているので、電源選びの目安になります(出力が大きければ6ピン2本+8ピン2本を搭載、小さければ6ピン1つのみを搭載)。電源に余裕があれば4ピンペリフェラルコネクタ(DVDドライブなどに使う電源コネクタ)からPCI-6ピンへの変換ケーブルも使用できます。
- UVD/UVD2
- ATIの動画再生支援機能。CPUの負担を少なくして高画質で再生します。この機能を使うには動画再生ソフトでハードウェア支援機能を有効にする必要があります。
- LorProfile(ロープロファイル)
- ブラケットを含めて幅が短い構造です。省スペースPCに接続するにはこのタイプが必要です。ロープロファイル専用では、通常のPCケース(ミドルタワーなど)用のブラケットが付属しません。ロープロファイル対応であればどちらでも使うことができます。