HDDでは読み取るときとほとんど変わらない負担で同じ場所のデータを簡単に書き換えることができますが、SSDでは複雑な処理を必要とするため書き込みの性能は大きく変化します。
SSDではセルに書き換え寿命があるため、同じ場所をそのまま書き換えていたらその部分が不良になってしまいます。そこで、書き換え数の少ない場所を使って書き込みが行われていきます。
HDDでは磁気を直接変化させることで、読込と同じ速さで書込が行えますが、SSDでは一度データが書き込まれた場所は消去をしないと新しいデータを書き込むことができません。
そのため、SSDでは読込と比べて書込が遅く、しかも状態に応じて書込処理がとても遅くなります。処理がとても複雑なため、搭載されるSSDコントローラの影響を大きく受けます。
一連のベンチマークを実行した後なので、クリーンな状態ではありません。測定前に、HDTuneProのErase(Zero fill)を実行しています。
54GB分の写真のフォルダをコピーしました。空き容量が9%の状態です。
単純なファイルの読み書きではほとんど影響がないようです。
PCMARK VANTAGE | U3S6 | 54/60GB |
---|---|---|
HDD Test Suite 総合スコア | 36000 | 26662 |
Windows Defender ウイルススキャンの動作 | 210.88 MB/s | 161.73 |
gaming ゲーム | 217.32 MB/s | 203.35 |
importing pictures to 画像 | 263.4 MB/s | 239.24 |
Windows Vista startup Vistaの起動プロセス | 214.15 MB/s | 193.61 |
editing using Windows 文書 | 128.4 MB/s | 89.07 |
Windows Media 動画 | 171.74 MB/s | 70.76 |
music to Windows 音楽 | 106.22 MB/s | 61.56 |
application loading アプリケーションの起動 | 103.39 MB/s | 95.88 |
複雑な読み書きは遅くなっていますが、それでもWindows Media以外はHDDより高速です。
HDTuneProでディスク全体の書き込みを測定するにはボリュームを削除する必要があります。
SSDは古い書き込みの影響で新しい書き込みが遅くなってしまうのが特徴です。HDDの場合はS極・N極の磁気を新しいデータに合わせて変化させるだけなのでこのような問題は起こりません。
Trim対応の環境ではデータを消去した情報がSSDに伝わるため、古いデータの影響が消えていきます。それには不要になったデータが書き込まれていたブロックを整理する時間が必要ですので、Trim対応でもすぐに新しいデータを書き込むような場合は遅くなります。
また、U3S6のMarvelドライバはTrimに対応していないようです。SSDに搭載されているMarvellコントローラが対応しているのだからドライバもTrim対応ができると思うのですが、いろいろ合わせて新しいドライバを開発中なのでしょうか。
ランダム書込がとても遅くなっています。アクセスタイムが最大でHDDよりも遅い616msと出ています。1000msは1秒ですので、SSD内部で不要なデータが整理されるよりも早くデータの書き換えが頻発するキャッシュ用ドライブとして使用するとプチフリーズが発生するかもしれません。
これはディスク全面を使った場合であり、通常のファイルの書き込みではここまで極端な影響はほとんど無いと考えられます。空き容量がとても少ない状態で使用していると通常の利用でもこのように遅くなる場面があっても不思議ではありません。
SSD内部でデータを整理する機能はTrimコマンドとは別に機能するものもあります。故にSSDでは単純な性能だけではなく安定して使うために、搭載されるコントローラの信頼性も重要になります。
まっさらな状態なので、自動調整を待つよりもEraseを実行する方が単純で早いです。
PCMARK VANTAGE | 初期 | 書込後に消去 |
---|---|---|
HDD Test Suite 総合スコア | 36000 | 35779 |
Windows Defender ウイルススキャンの動作 | 210.88 MB/s | 208.46 |
gaming ゲーム | 217.32 MB/s | 213.94 |
importing pictures to 画像 | 263.4 MB/s | 267.22 |
Windows Vista startup Vistaの起動プロセス | 214.15 MB/s | 210.01 |
editing using Windows 文書 | 128.4 MB/s | 128.87 |
Windows Media 動画 | 171.74 MB/s | 166.49 |
music to Windows 音楽 | 106.22 MB/s | 106.71 |
application loading アプリケーションの起動 | 103.39 MB/s | 104.0 |
PCMARK VANTAGEではベンチマーク結果がほぼ元通りになっています。
とても遅くなっていたランダム書込も回復しています。
0fillはあくまでも空データで埋めていますので、SSD内部では不要になったデータとして随時処理中、そんな場面が現れている感じです。
再び消去してから1時間後。完全に調整されるには時間が掛かるようです。
ここではわざわざEraseを実行していますが、Trimに対応している場合はSSD内のデータが空でなくても、データを削除したときにそこは空になったと通知されるので同じように調整されるはずです。
U3S6に接続した状態で54GB書き込み、ゴミ箱を使わずにすべてのフォルダとファイルを削除。
2時間40分後にWrite Benchmarkを実行。ディスク全面の書き込み検査はパーティションが存在すると実行できないため、測定直前にディスクのボリュームを削除しています。
このSSDではTrimが使えなくても独自のアルゴリズムにより自動調整が行われるようです。
どうやら一番遅くなるアクセスでも、書き込み性能の下限は20MB/sのようですね。
連続したアクセスでは性能が回復したように見えますが、ランダムアクセスではまだ書き込みが遅いままです。
削除しただけであっても、Erase実行直後の性能に回復しています。
単純な小さなファイルのコピーでは書き込み性能の低下はほとんど無い。
データが書き込まれた場所に、すぐに別のデータを書き込む場合はとても遅くなる。
削除してから時間が経てば書き込み性能が回復する。