DVDドライブごとの違い
比較ドライブ
・LG電子 GH20NS10BK(ブラック) 詳細
・.LITE-ON DH-20A3S/PD7(PowerDVD7付属)詳細
・アイオーデータ DVR-ABM16GBK(ブラック)(松下製 SW-9587S OEM) 詳細
OEMとは、他社経由でのパッケージ化や組み込み販売向けに提供されている製品です。純正品と全く同じ場合と、ファームウェアなどに少し手を加えられている場合があります。 ファームウェアは機器内部で動作するプログラムです。ドライバはWindowsなどOSから機器を扱うためのプログラムです。
書き込み速度やメディアの書き込み品質の確認にはNero CD-DVD Speedを用いています。
・Nero CD-DVD Speedのダウンロードはこちら
DVDは円盤の形状で、内周から外周に向かって書き込まれます。同じ回転数なら容量が大きくなるに連れて書き込み速度が上がり、同じ書き込み速度を維持するのならば回転数を下げていくことになります。
ここでは、8倍速のDVD-Rを使い、書き込み速度の変化の違いを見ていきます。グラフ1の緑の線は書き込み速度、黄色い線はディスクの回転数を表しています。
計測用書込を行ったディスクの品質検査にはDH-20A3Sで測定しています。グラフ2のPIE(PI Errors)、PIF(PI Failures) 、Jitter、 POF(PO Failures)は大きいほどディスクにエラーが生じています。これらの値が高くなりすぎると読み取りができなくなります。特にPOFは致命的なエラーとなり、1つでも発生しているとそこに記録されているデータを正しく読み取れない可能性がとても高くなります。反対に、PIEは多くてもPIFが少なければ問題になりにくいエラーです。品質の悪いメディアまたは書き込みドライブとの相性が悪い場合はPIFが多く発生します。
どこまで高まると読み取りできなくなるのかはドライブによって異なります。基本的に、PC用のドライブでは強力なエラー訂正を備えているので問題が起こりにくく、家電のDVDプレーヤーやカーナビ等では、エラー訂正が弱いため読み取りエラーが起こりやすくなります。
ここで分かるのは書き込み速度と書き込み品質であり、保存耐性とは関係ありません。書き込み品質が高くても劣化しやすいディスクの場合は、長期保存では保管方法などにより読み取りエラーとなることがあります。
同じ倍速でもかなり異なる書き込み速度
DVD-R 8倍速メディアでの違い
メディアはmaxell DVD-R 1-8x (DR47WPC.GN.30SP)を使用。Disk IDはMXL RG03。マクセル純正品と思われます。
同じ8倍速でも書き込み速度が大きく異なります。
GH20NS10では早い段階から8倍速で書き込みされますが、DH20A3Sでは5倍速からゆっくり8倍速に上がっていきます。ABM16Gでは2.0GBまでは6倍速で書き込まれ、そこから8倍速に変わっています。同じ8倍速での記録でも1分の時間の違いが生じています。
グラフに波があるのは回転数のズレを調整しているためと思われます。
CAVは回転数固定、CLVは書き込み速度固定の記録方式です。書込品質はどれも高い結果となっています。この程度の差は誤差の範囲と言えます。
DVD-R 16倍速メディアでの違い
メディアはSONY DVD-R 1-16x (10DMR47HPHG)を使用。Disk IDはTYG03。太陽誘電のOEMと思われます。
GH20NS10とDH20A3Sは16倍速のDVD-Rに20倍速で書き込み可能。ABM16Gは最大16倍速となりますが、15倍速までしか上がっていません。
最外周部で大きく速度が低下するのは、速度を落とさないと書き込みに失敗してしまうためです。最外周部はメディアの品質も悪くなりやすく、速度を落としても書き込みに失敗することが多くなります。
書き込み品質は、16倍速ドライブと20倍速ドライブとの差はありませんでした。このディスクでは20倍速対応ドライブで16倍速に落として書き込む意味はありません。
DH20A3Sは2回計測しました。2回目は最後まで滑らかに書き込まれています。メディアやドライブの状態により同じディスクでも若干異なる場合があります。PIEが多いですがPIFはとても少なく、問題のない範囲です。
低速での書き込み
上記のSONY 16倍速メディアを低速で書き込みました。
20倍速での書き込みと比べてPIEが減少しています。4倍速では8倍速よりも増えてしまいましたが、これは20倍速で2回測定したときの誤差の範囲での変化でしかありません。
GH20NS10ではマクセルの8倍速メディアとソニーの16倍速メディアで、8倍速書き込みに違いがありませんが、DH20A3SはPIEが増えています。DH20A3Sはソニー16倍速メディアへの書き込みは全体としてPIEが多く出ており、このドライブの性能によるもの(このメディアとの相性)と思われます。
まとめ
同じ倍速のドライブでも、回転方式の違いにより書き込み速度は大きく異なります。
同じディスクを使用してもディスクやドライブの状態により書き込み品質が多少変動します。
信頼の高いメーカーのメディアであれば、わざわざ速度を落として書き込む必要はありません。
ドライブとメディアの相性によって、エラーが発生しやすくなる場合があります。その場合でも、信頼の高いメディアでは問題にはなりにくい程度のものです。
ディスクの品質検査が行えるドライブはLITE-ONやBenQなど一部のメーカーや特定の機種に限られます。