RAIDについて
概要
複数のハードディスクを1つにまとめて扱うのがRAIDです。
RAIDの方式により、性能向上や故障リスクを低下させることができます。
RAIDの種類
ソフトウェアRAID
CPUを使ってRAID処理を行います。
Windowsではハードディスクの管理メニューから、スパンニング(JBOD)とストライピング(RAID0)が設定可能です。スパンニングはRAIDではなく、複数のドライブを単純に繋げて大容量の1台のドライブとして扱います。
OS上で管理するため扱いが簡単ですが、性能はCPUに依存します。
動画やゲームなどCPU使用率が高くなる場合はHDDのアクセスが遅くなってしまうので、ストライピングのメリットが得られなくなります。
ハードウェアRAID
RAID対応の拡張カードの他、ICH-RなどチップセットがRAID機能を搭載している場合があります。マザーボードが直接対応している場合は、BIOSのメニューで動作モードをRAIDに設定できます。
CPUの影響が少なくRAIDの性能が発揮されます。
RAID5など複雑な処理が必要になる場合は、高性能なコントローラを搭載していないと性能が低くなる場合があります。単純なRAID-0やRAID-1であれば気にする必要はありません。
RAIDレベル
RAID0とは
RAID-0はストライピングと呼ばれ、2台以上のHDDを1つのHDDとして扱います。読み出し装置がたくさん付いていることになり、データの読み書きが分散されて高速になります。
容量は2台なら2台分、3台なら3台分使用することができます。
ただし、1つのドライブが故障するとデータの読み書きができなくなってしまい、故障したときのリスクが高まります。2台中1台壊れても、3台中1台壊れてもデータは壊れていますので、HDDを増やすほど高速になりますが故障の危険も増えていきます。
また、HDDの回転数や起動速度は変わりません。転送速度は向上しますが、回転待ちなどアクセスタイムは向上しません。大きなファイルの読み込みには大きな効果が望めますが、複数のファイルを読み込む場合はRaptorやSSDなどアクセスタイムの速い単体のドライブに劣ります。
RAID1とは
RAID-1はミラーリングと呼ばれ、2台以上のHDDにデータをコピー保存します。1つのドライブが故障しても影響なくパソコンが動作することができます。
複数ドライブでのデータの整合性を確認するため、読み書き速度とも単体のドライブより遅くなる場合があります。
HDDの半分はバックアップに使用されますので、容量は2台で1台分しか使うことができません。4台では2台分の容量になります。
RAID1は故障に備えるもので、バックアップとは異なります。複数のHDDを同じデータ状態に保つため、故障ではないデータの破損や消失等は保護されません。
RAID5とは
RAID-5では3台以上のHDDに分散保存とコピー保存が行われます。RAID-0のような高速性とRAID-1の信頼性を併せ持ちます。1台のHDDが故障しても高速にデータにアクセスできます。
容量はHDD1台分を差し引きます。3台なら2台、4台なら3台分の容量が使用できます。
読み取り速度はミラーリングよりも高速(単体ドライブに近い)ですが、書き込みには信頼を高めるために複雑なパリティ計算を必要とするため、高価なRAID-5対応の拡張カードを使用しないと大幅に遅くなります。
RAID0+1とは
RAID-0+1では4台のHDDを使用して、RAID-0とRAID-1を同時に実現します。RAID-5と違い安価に高速性と信頼性の両方が手に入ります。
RAID-0の故障リスクとRAID-1の速度低下を相殺します。使用できる容量は接続した台数の半分である2台分となります。
注意事項
RAIDでは複数のドライブを同時に扱うため信頼性がとても重要です。RAIDの信頼を高める機能を備えたエンタープライズ製品をおすすめします。
バックアップやデフラグなどハードディスクを扱うソフトに、RAIDに対応していないソフトウェアがありますので、使用する予定がある場合はご確認ください。
RAIDの設定方法はRAIDコントローラにより異なります。マザーボードや拡張カードのマニュアルをご確認ください。(マザーボードにRAID機能がある場合は、BIOSでRAIDモードに設定して、起動時にCTRL+Iで設定メニューを表示)
異なる容量のドライブを使用する場合は、すべてのドライブが一番容量が少ないものに合わせられます。(320GB+500GBのRAID-0は320GB+320GBと同等)
性能が異なるドライブを使用する場合は、性能が低い方に合わせられます。また、整合性が保てずに不具合が生じる場合があります。
RAIDコントローラとHDDとの相性により正常に動作しない場合があります。特に日立(HGST)製HDDとの相性が問題になることが多いようです。(組み合わせによっては問題が生じない場合もあります)