USBメモリの性能とUSBポートの制限
概要
USBメモリはファイルの持ち出しとしてだけでなく、Windows VistaではReadyBoostととして、システムの高速化にも役立ちます。
USBメモリの最大の特徴は、手軽に取り扱えるのと、HDDのような機械駆動がないので小さなファイルの読み込みがとても高速なところにあります。
USBメモリは半導体によるフラッシュメモリであり、メインメモリ(RAM)と異なり、通電していなくてもデータが消えません。性能は低速なものからUSB接続のHDD以上の高速なものまで様々です。
USB2.0ポートは理論値480Mbps(60MB/s相当)ですが、実際には35MB/s程度の性能しか発揮できず、複数のUSB機器を接続するとさらに低下していきます。USBハブを介していると20MB/s以下の性能しか出ないことがありますが正常です。
【重要】記録媒体のランダムリード・ライトの計測を行うベンチマーク CrystalDiskMark 1.0/2.0に測定結果が正しくないという致命的な不具合があることが分かりました。不具合が修正されたCrystalDiskMark 2.1の測定結果に差し替えました。ご迷惑おかけして申し訳ありません。
・Crystal Dew World
USBメモリの性能
計測したUSBメモリは4種類。アイオーデータの高速タイプ TB-BH1G、アイオーデータのスライドタイプ TB-AT1G、サンワダイレクトのハイスピードタイプ 600-UH1G、Windows Vistaの予約特典に付いてきた1GBです。
写真は左上はTB-BH1G、右上はTB-AT1G、左下はオマケUltimateメモリ、右下は600-UH1G。
ベンチマークは、全域のシーケンシャルリードとシークタイムを計測するHD Tune、ReadyBoostでも重要になるランダムアクセスの512KBと4KBの性能を計測できるCrystalDiskMark、ReadyBoostの性能をランク付けして色分けするChaeckReadyBoostの3種類を用います。
HD Tuneの黄色アクセスタイム(シークタイム)は、離れたデータ間の移動時間を表すので数値が小さいほど高速です。機械駆動のない半導体であるUSBメモリはHDDよりもシークタイムが数倍以上も高速です。
CheckReadyBoostでは、[高性能][該当無し](銀)>Bronze(銅)>Green(緑)>YellowGreen(黄緑)>Yellow(黄)>[該当無し](橙)>Red(赤)[低性能] の順で性能がランク付けされます。
アイオーデータ ToteBag TB-BH1G
キャップが後ろに付くので無くしにくい。ただし、キャップを後ろにつけるとアクセスランプがわかりにくくなります。キャップを閉じるときは向きがあるので注意。コネクタの隙間で固定するようで、向きが異なると閉じれません。後ろにつけるときはどちら向きでも可能。ReadyBoostのランクは緑クラスでした。
アイオーデータ ToteBag Smart TB-AT1G
キャップのないレバー式でとってもコンパクト。アルミの鏡面仕上げが高級感のある光沢を演出しています。アクセスランプはなく、レバーの繋ぎなどは安っぽい感じです。レバーは奥に押しながらスライドさせると簡単に動きます。横に押すだけでは指を痛めるだけですので注意。ReadyBoostにも使用でき、ランクは黄色クラスでした。
Windows Vistaの予約特典
作りは一番丈夫そうです。形状はA-DATAのPD7とCFD販売のCUFD-Hと同じでロゴが異なり、USBメモリ本体はOEMによる同じものだと思われます(直接検証はしていません)。計測した中では一番高速なUSBメモリでReadyBoostのランクは銅クラスです。(銅を超えるものはUSB2.0接続ではまだ無し?)
サンワダイレクト(サンワサプライ)の600-UH1G
作りは一番安っぽく価格もとても安く販売されています。性能は高速版というだけあってわりと高いです。しかし、どうも品質で不安定になっているようで、HD Tuneでは周期的な変動があり、シークタイムも高速な部分と低速な部分に二分されてしまい3ms超えというフラッシュメモリとしてはとっても遅い結果になっています。CrystalDiskMarkでは影響を受けずに高い数値を出していますが、ChaeckReadyBoostでは一番性能が低い結果となりました。このメモリはReadyBoost対応として販売されていますが、ReadyBoostのランクは赤クラスとなり不向きです。(この製品がたまたま品質の悪いハズレであったという可能性もあります。安いものは同じ製品でも品質のバラツキが大きいことがあります。)
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USBポートの性能と制限
GA-P35-DS4 Rev2.0のUSBポートは、背面の上6つのAグループと、背面の下2つ+前面2つのBグループ分かれます。USBポートはハブなどを使い複数の機器を接続しますが、異なるグループ間では干渉がありません。
Aグループ | Bグループ | |
USBハブ マウス キーボード プリンター USBオーディオデバイス UPS などを接続 |
性能を測定する1つの機器のみを接続 |
この場合、Aグループに接続すると他の機器の影響を受けて高速な機器の性能を発揮できないことになります。
また、USBコントローラによっても性能の上限が変わってきます。ここでは、最大34MB/sの性能が出ていますが、チップセットやUSBカードの種類によっては30MB/sに満たないこともあります。
USB2.0の実力
USB2.0は理論値480Mbpsとなります。これは60MB/sに相当します。しかし、実際には1つの機器の最大は35MB/s程度で頭打ちとなってしまいます。これは、USBという規格は低速な機器を簡単にたくさん接続するために作られているからです。そのため、高速なハードディスク(HDD)を接続した場合は本来の性能が発揮できなくなります。
左はSATA接続のHDD WD5000AAKS、右はUSB2.0接続のHDD HDC-U320。
HDDのディスクは円盤のため先頭の外周から後方の内周にいくほど速度が遅くなっていきます。そのため、なだらかな右下がりとなっています。USB2.0では、USB2.0の性能がHDDの内周の読み込み速度よりも遅いために先頭も後方も同じ性能となっています。
USBポートの数が少ない場合、すべてAグループとなっていることもあります。
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Windows Vistaの特典USBメモリ。左がBグループへの接続、右がAグループへの接続。
測定した中で一番高速なUSBメモリですが、読み込み速度が一番低速なUSBメモリに近い性能しかでていません。RedyBoostのランクは黄緑クラスに落ちてしまいました。
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TB-AT1G。左がBグループ、右がAグループへの接続。
測定した中で一番性能が低いTB-AT1Gでは、Aグループに接続してもほとんど変化していません。
このことから、性能の高いデバイスは他のUSB機器との影響が少ないUSBポートに接続しないと、本来の性能が生かせないことになります。接続グループが足りない場合は、USBカードを増設するのも1つの方法となります。HDDを外付けにしたい場合はUSBではなくSATAと同じ性能で接続できるeSATAを用いるのが良いでしょう。
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HDDとフラッシュメモリの違い
パソコンの性能は、CPU→メモリ→フラッシュメモリ→ハードディスク→CD/DVD等→フロッピーの順に遅くなります。フラッシュメモリまでは機械駆動のない半導体であり、ハードディスク以降はモーターで回転させるという昔から性能が変化しない低速な動作が生じてしまいます。
ハードディスクの場合は記録密度を高めることで、連続転送速度を大きく向上させていますが、異なるデータへの移動時間であるシークタイムは回転数に依存してしまい10年以上前とほとんど変わらない性能です。
左が磁気ディスクを使ったハードディスクのUSB2.0接続、右がWindows Vistaの特典USBメモリです。
HDD自体はSATAやIDEのため通信信号をUSBに変換する必要があります。そのため、シーケンシャル(連続転送)が圧倒的に速いHDDですがUSB2.0接続ではUSBの性能を生かすフラッシュメモリに抜かれています。
機械駆動の有無によるシークタイムの大きな違いにより、ランダム読み込み性能はUSBメモリが数倍も速い結果となっています。ReadyBoostではこれを生かして、小さなファイルをHDDから読み込んでおくことでHDDへのアクセスによる動作速度の低下を防ぎます。
しかし、フラッシュメモリは書き込み速度がとても遅いため、頻繁に書き換えが必要なファイルの保存には適していません。また、書き換え可能回数がHDDと比べてとても少なく信頼性が劣ります。
フラッシュメモリをHDDの代わりとして使用するためのSSDが登場していますが、連続転送速度がHDDよりも低い(高いものもあるがPC本体並に価格が高くなる)ことや信頼性や少ない容量で高価などまだまだ発展途上です。